ガン治療・・・形態矯正の視点から


 病気のリセットボタンを求めて ・・・・・・・・花山水清:医療コラムから

「 ガン(1) 」 あなたとガン

 今、日本人の2人に1人はガンにかかり、3人に1人はガンで死んでいく  という状況です。
しかし、ほとんどの人が不安を感じながらも、自分だけはガンにはならないと思っていますし、これだけ身近な病気であるにも関わらず、ガンに関する知識があ りません。

 そのため、自分自身がガンだと宣告されると、なぜ、自分がガンにならなければいけないのか、なぜ、自分だけがこんな目に遭うんだ、と降ってわ いた災難のように、ただただ被害者意識に翻弄されて、考える気力を失ってしまうのです。

 そういう方は、結果として、全て病院任せ・医者任せの治療を選択します。そして、こんなはずではなかったと言いながら、納得のいかないまま亡くなってい く方も大勢おられます。
  ある医者によると、インフォームド・コンセント(医師からの説明を受けた上での同意)のために治療方針を患者に説明しても、全て先生にお任 せしますと言う方が99%だということです。自分は病気に関しては素人だから、全てプロに任せるのが最善だと思ってのことでしょう。

 しかし、病気の当事者は自分であり、自分の体に対する最終責任者も自分自身であるはずです。病気の治療に関して、医者は単なる協力者でしかないというこ とを自覚しなければいけません。 ガンに限らず、病気の診断結果も、治療方法も、各々の医者によって異なります。誰に診てもらうか、どういう治療を選択するかで、結果も当然違います。

 ですから、すべての結果は、誰のせいでもなく、患者本人の選択にかかっているのです。この事実を肝に銘じておかなければなりません。ガンになってからで は、気力も体力も限界があります。私達は、ガンに関するある程度の知識を、日頃から集める努力をしなければいけないのです。

 その知識は、自分の大切な人がガンになった時にも、必ず役に立ちます。また、氾濫するガンの情報の中から、真実を見極める目を養うことも必要 ですので、入ってきた情報は、まずは疑ってみる癖をつけてください。医者が言ったから、というのでは、不勉強な医者に当たれば被害者になるだ  けですし、テレビで見たから、雑誌に出ていたからでは、マスコミのバイアスのかかった情報にだまされることになります。マスコミ媒体は広告収入で成り 立っていることを忘れてはいけません。  もちろん、私の言うことも、疑ってみるべきなのです。

 私自身も、自分の理論を常に疑ってみて、仮説・検証を続けています。 ありとあらゆる情報の中から、自分で真実を探し出して、最終的には自分の責任において、治療法を選択しなければいけません。その作業は、一方的な被害者に なってしまわないためには必要なことです。それは、自分の体に対する当事者としての責務であり、自分の人生に対する  責任でもあるからです。ガンは非常に身近な病気です。今日、ガンだと宣告されたら、あなたはどうしますか? それを、常にシミュレーションしておくべきなのです。こんなはずではなかった、と絶望してしまうことのないように、一緒に勉強  していきましょう。

 
「 ガン(2) 」 ガンの仕組み

 ガンは、様々な発ガン物質や老化現象によって発生、成長する遺伝子の病気です。新型ウィルスによる病気などとは違い、太古の昔からあった病気で、人間だ けではなく、無脊椎動物などあらゆる動物にもガンは見られます。

  ご存知のように、人間の体は約60兆個の細胞からできています。 そのうちのひとつの細胞のDNA(遺伝情報をもつ細胞核染色体)が、放射  線や薬剤、ウィルスなどの発ガン物質によって傷付けられると、細胞がガン化します。

  本来、正常な細胞は、ある程度の期間で増殖をやめるようにプログラムされていますが、ガン化した細胞は、いつまでもどんどん増殖を続けるの が特徴です。 そして、おおよそ15年ほどで早期ガンとして肉眼で認識できる大きさになります。

  実際には、ひとつのDNAの異常だけではガンは発症せず、少なくとも8〜  10個の異常で発ガンすると言われています。人の細胞は一生のうちに約100億回もの変異を起こし、1日に何千個ものDNAが損傷を受けていますが、正 常な状態なら、DNA損傷認知修復遺伝子が、損傷したDNAを認知し、修復してくれます。

  また、サプレッサージンというガン抑制遺伝子が、ガン細胞の増殖を抑制  し、ナチュラルキラーと呼ばれる免疫細胞が、ガン細胞を攻撃してくれている間は、ガンが発症しないですむのです。 しかし、老化などでこれらの機能が衰えると、DNAの修復ができずにガンが増殖してしまいます。その結果、ガンが発症するのです。

 老化が原因なのですから、人は、年をとれば必ずガンになります。現代は、生活環境の悪化で発ガン物質が増えたために、DNAに損傷を受ける機会が格段に 増えています。また、寿命が伸びたことで、ガンの発症を目にする機会も必然的に増えているのです。

  ガンの発症が増えたり、ガンで亡くなる方が増えたというのは、ガンが発症するほど長生きできるようになったということです。つまり、それま では、老化でガンが発症する前に、他の病気で亡くなってい  たわけなのです。

   ガンが老化現象であるならば、平均寿命前後で発症するのは、ガンのメカニズムとしては当然のことと言えます。 問題なのは、働き盛りの人がガンになったり、20歳そこそこでガンになる人が存在するということなのです。

  遺伝によるガンを除けば、若年に発症するガンは、一部の臓器の急激な老化であると一般的には言われています。 それでは、なぜ若年で急激な老化が始まるのか、そもそも老化とはいったい  何なのか。  次回は、この老化の仕組みを解明することでガンの真相に迫ります。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(3) 」 ガンと老化 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━              数年振りに友人に会うと、自分のことは棚に上げて、随分と老けたな、と感じます。そこで改めて、自分の年齢を思い、老化を意識したりし ま す。 この、たいへん身近なことである「老化」ですが、実は最近まで、そのメカニズムは、科学的にはほとんど解明されていませんでした。

  ところが、「老化の遺伝子」というものが存在することが発見されてからは、生体における老化のメカニズムも、少しずつ明らかになってきまし た。

  その老化のメカニズムとは、

・老化は「老化の遺伝子」にプログラムされている。
・活性酸素による、体内での分子レベルの変化が細胞に変化をもたらす。
・体細胞の分裂回数には限界がある。
・生活環境が体内環境に変化を及ぼす。

  以上の要因で、免疫機能やホルモン機能が低下して、老化現象が現れるようです。
 老化の原因に「老化の遺伝子」があるように、ガンの発生には「ガンの遺伝子」が関係していることが確認されています。つまり、老化のメカニズムとガンの 発生のメカニズムとは、その仕組みが同  じなのです。

  ガンの発生は老化によるものだから、老年期の発病は当然である、と先週号  ではお伝えしました。すなわち、本来「ガンは老化現象として発生する」と言うことです。しかし、これでは若年におけるガンの発生の説明にはなりません。 老化は一旦進んでしまうと、元には戻りません。

  お年寄りが赤ちゃんに逆戻りするということは絶対にあり得ないのです。ですから、老化がそういった不可逆的な現象であるならば、老化が原因 であるはずのガンも、一旦進行してしまったら、完全には元に戻らないはずなのです。

  しかし、私の施術では、ガン患者特有の症状(形態異常)自体を取り去ることで、結果としてガンの進行が止まったり、後退していった例があり ます。そこで私は、本来の老化の原因以外の何かが、老化に似た現象を体内で引き起こしているのではないか、それが若年のガンを作り出しているのではないか と考えました。

  そして今では、この「形態異常」(ガン患者特有の症状)が、何によって発生するのかを解明することで、ガンの発生の原因に到達できると確信 してい  ます。


 次週からは、この「形態異常」とガンについてお話していこうと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(4) 」 形態異常との出会い ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ガンの前兆やガン患者に共通してみられる身体的特徴を私は「形態異常」と呼んでいます。  私が最初にこの「形態異常」の存在に気付いたのは、1997年のことでした。 当時、私は肺癌末期の高齢の女性を診ていました。 その時は、なぜ左側だけ起立筋(※)がこんなに盛り上がっているのだろう、と不思議に思いましたが、それ以上意識することはありませんでした。
 
 それからしばらくして、病院での治療を10年以上受けても治らなかったという突発性難聴の30代の看護婦さんを診ました。その頃の私の施術では、突発性 難聴にも、ある程度は効果を上げていたのですが、この方の場合は中々効果が出ません。 そんなある時、彼女にも左の起立筋に異常な盛り上がりがあることに気付きました。

  以前診た肺癌の方の状態と考え合わせると、やはりそれが、体の異常を訴える何か特別なものであることを認識せざるを得ませんでした。しか し、左の起立筋自体に様々な刺激を加えても、その盛り上がりはビクともしません。仕方がないので、他の部分をあちこち刺激してみていると、ある部分を刺激 した途端、何かのスイッチが入ったかのように、軽く刺激を加えただけでも  彼女が痛みを訴えるようになりました。

 それまでは、どんなに刺激しても、マッサージのように気持ちいいと感じる程度の鈍い反応しかなかったので、その変化は、正に劇的でした。ガチガチに固 かった体も、その瞬間から急に感触が柔らかくなりました。
  彼女自身にも、その痛みは打撲などから来るものとは違って、体にとって非常に良い変化であることが感じられたようです。 また、彼女は看護婦ですから、ある程度の医学的知識もあり、患者さんの体の変化も見てきているので、自分の体に起こった変化が、何か特別なもので  あることは十分わかったそうです。

 しかし、その状態も30分ほどのことでした。  一瞬にして、また元のガチガチの固い体に戻ってしまい、後はどんなに刺激しても、気持ちいいだけの鈍い反応しか出なくなりました。 この、感覚の劇的な変化は、ホルモンか神経伝達物質が関係しているだろうということは想像できましたが、その時は、同じような刺激を繰り返しても、変化が 再び起きることはありませんでした。
 
 その日の4時間にも及ぶ施術を終えてみて、二人で、いったいこれは何なのだろうと首をかしげたことを、今でも鮮明に覚えています。後から考えると、これ が、私の施術がマッサージの領域から治療の領域へと  踏み出した瞬間であり、ガンに対するアプローチの第1歩であったと思えるのです。   

 ※起立筋=背中の、背骨の両側にある筋肉(形態異常図の3番参照)  


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(5) 」 リセットボタン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   私の施術は、東洋医学のツボや経絡ではなく、現代医学の解剖学に基づいて神経を刺激するのが特徴です。 例えば、胃の働きの悪い時、病院では迷走神経に効果を及ぼす薬を処方しますが、私は、迷走神経自体を手技で刺激することによって、薬の作用と同じ効果を上 げる方法をとっています。

  前回お話したのは、左の起立筋(※)が盛り上がっている突発性難聴の看護婦さんの施術中に、ある神経を刺激したら、体に一瞬にして劇的な変 化が起こったという内容でした。 1週間ほどして、再度、施術に挑戦です。前回の施術で体が反応した時のことを思い出して、肋間神経の末梢部分を刺激してみたところ、突如として、また同じ ような体の変化が現れました。 前回、途中で体が元に戻ってしまった後には再現できなかったのですが、やはりあれは偶然ではなかったのです。

  それならば、と注意深く周辺を刺激してみると、刺激に対して痛みを感じる  部分と全く感じない部分とに、はっきり分かれていることが判明しました。これは、脊髄分節と同じ領域に分かれているようです。脊髄分節とは、ミミズのシ マシマのように人間を輪切りにした状態で、神経が支配する領域がそれぞれ違うことを表しています。そういう領域に分かれていることがわかっても、刺激に対 して反応が出る部分というのは、実際には非常に狭い範囲なのです。 このこと自体、現代の解剖学ではまだ解明されていない分野ですから、これは文字通り手探りの作業でした。

  刻々と変化する体から、刺激に対して反応が出る部位を見つけ出すのは、とても困難なことです。 この時も悪戦苦闘して、全身どこでも軽く触れただけで痛みが出る状態までもっていってから、その痛みを丹念にほぐして取り去っていきました。
  すると、ガチガチに固かった体が柔らかくなり、本人が永年ハト胸だと思っていた体型も、普通の体に戻りました。  そして、肝腎の左の起立筋の盛り上がりも、見事に消失していたのです。この段階で、完全ではなくとも難聴も改善されていましたので、施術の方向は間違っ ていなかったようです。

 しかし、左の起立筋の強張りは、一度取り去っても時間がたつとまた元に戻ってしまいます。  元に戻ってしまう前に、先手を打って刺激を加え続けることで、正常な体の状態を維持していかなければいけません。

  反応の出る部位も、反応の出方にも個人差が大きい上に、当時はまだ刺激方法も確立できていませんでしたので、前回の4時間よりは短縮したも のの、この時も施術には3時間ほどかかりました。
 
 人体には、様々な反応を起こす無数のスイッチが点在しています。 施術の刺激に対して、最も効率良く反応の出る部位を探し出すことは、実際には気の遠くなるような作業です。
 しかし、このたくさんあるスイッチの中から、健康な体へとリセットするボタンを、なんとかして見つけ出したいのです。そう思って、私は今も研究を続けて います。

    ※起立筋=背中の、背骨の両側にある筋肉(形態異常図の3番参照)   



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(6) 」 形態異常 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前回は、どうやら人間の体には病気を治すスイッチのようなものが点在しているようだというお話をしました。

 肺ガン末期の方と突発性難聴の方の両方に共通してみられた、左の起立筋の強張りの存在が、私を病気のリセットボタンと呼ぶべき、そのスイッチへと導いて く れたのです。 しかし、左の起立筋の異常や、突発性難聴の方の施術で起きたような、知覚神経の劇的な変化については、どんなに調べてみても、医学書にはそのような記述が 見当たりませんし、知り合いの医者に訊いてまわっても、誰からも確かな答えは得られませんでした。

・なぜ、左の起立筋が盛り上がるのか
・なぜ、一瞬で知覚神経が変化するのか
・変化した時の体内での生理的な変化はどのようなものなのか
・なぜ、脊髄分節の機能が亢進されるのか
・そのような体の変化と病気との因果関係はあるのか

  などなど、様々な疑問が私には次から次へと湧いてきます。 その一つ一つに対する科学的な説明は、私の調べた限りでは当時も現在も全く存在しないようです。
  そもそも、解剖学の本には、このような体の変化についての記載はありません。しかし、解剖学の本に出ていなくても、実際には、左の起立筋に 異常のある人は意外に多いこともわかってきました。

 しかも、健康な方には全く見られないのに、特定の疾患の方には共通してこの異常が存在するのも事実なのです。 そこで、従来、医学的に遣われている言葉とは意味合いが違いますが、特定の疾患の方に存在する一連の体の異常を、私は「形態異常」と呼ぶことにしました。

 「形態異常」は、規則的な特定の体の変化を表現するには、広い意味では妥当な言葉だと思っていますし、この形態異常の共通性の発見は、医学的には正に画 期的な発見であることもわかってきました。

  左の起立筋に形態異常のある人を観察していくと、他にも様々な共通の変化(形態異常)があることも、徐々にわかってきました。
  また、特定の疾患と形態異常の有無との因果関係も数多く発見し、それらの形態異常を矯正によって取り去ることで、疾患が回復に向かう症例も 増えてきたのです。症例から検証してみると、形態異常がある場合、神経伝達の異常が、免疫ホルモンの異常を引き起こす要因になっているようです。また、形 態異常は、徐々にではなく突然現れるのが特徴です。

  そして、一旦形態異常が現れると、少なくとも10年以上は、自然に元の正  常な状態に戻ることはないようです。しかも、せっかく矯正を施して形態異常を取り去っても、重い病気であるほど、体が異常な状態に戻ってしまうスピード も速いようです。

  施術していると、体を悪くしようとする何物かが、患者さんの体内に存在し、強い力で抵抗しているような感じがするのです。私は、当時、すで に数人のガン患者や元ガン患者を診ていましたが、その 全ての方に形態異常が存在していました。  私は、そこに、ガンと形態異常との因果関係を感じずにはいられませんでした。

  ガンと形態異常とが、それほどまで密接な関係であるならば、形態異常を矯正して取り去ってしまえば、ガンも消失するのではないか。この仮説 を基に、私は、ガンと形態異常発生のメカニズムの解明に正面から取り組んでいくことにしたのです。  
 
   ※起立筋=背中の、背骨の両側にある筋肉(形態異常図の3番参照)  


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(7) 」 ガンと形態異常 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  前回は、ガンと形態異常とが、それほどまで密接な関係であるならば、形態異常を矯正して取り去ってしまえば、ガンも消失するのではないかという仮説を 立てました。

 形態異常とガンとの関係を意識し出してすぐに、1ヶ月後に病院での手術を控えた30代前半の子宮頚ガン初期の方が、来院されました。 私の最初の所見では、形態異常の30項目全てに該当し、子宮の右側のリンパの腫れもひどいものでした。

  本人も、すぐ眠くなってお風呂でも寝てしまうし、日に日に体力が落ちていると話していますので、ガンがあることは間違いありません。 手術の日程までは、1ヶ月ほどしかありませんので、とにかく立て続けに施術を行なうことにしました。

  形態異常の場合、自律神経、脊髄神経が異常になりますので、これらの神経が支配する臓器に伝達がうまくいきません。 その結果、免疫低下が起こります。 ですから、私の施術では、患部に向かう神経系を活性化することで免疫力の改善を促します。 この時、ガンのある部分を直接刺激しないで、いかに活性化させるかが施術のポイントとなるのです。

  ガンの方の場合は特に、この施術の刺激に対して反応が出るようになるかどうかが治癒への分かれ道です。 その状態に導くまでには、私としても始めの頃は相当苦戦しました。 しかし、この方を見始めた頃には、刺激方法も随分体系化されていましたので、最初の3、4回ほどの施術で、かなり刺激に対して反応が返ってくるようになり ました。

 内臓神経から患部に向かって刺激をすると、痛みを感じるようになり、パンパンに膨らんでいた下腹部もへこみ始めました。

 そして、ある時、異常な色の尿が出、生理の時には今まで見たこともないような塊が出たのです。  さらに数回の施術のあと、刺激に対する反応がもっと健著に現れるようになると、固く張っていた体も柔らかくなりました。 手術までの1ヶ月の間に10回ほどの施術を繰り返したでしょうか、再検査  までには形態異常は見事に消失していましたので、私の手応えとしては十分でした。そして予定通り、彼女は意気揚揚と手術前検査のために病院に行きまし た。

  前回同様の検査を受けましたが、やはり、私の診た通り、ガンは無くなっています。 検査結果を見た担当医は、なぜガンが消失したかは全くわかりませんので、  鎮痛剤が効いたかな、と言いながら首をひねっていたそうです。 念のために他の病院でも検査してもらいましたが、全く問題はありませんでした。 その方は、1、2年後には出産もされ、今も健康に暮らしておられます。

 彼女の場合に考えられることは
1、病院でのガンの診断が誤診だった   
2、ガンはあったが、1ヶ月で自然に治った
3、ガンが私の施術で治った  

の3つでしょうが、
1は、私も患者の体を診て間違いなくガンがあるのを確認していますので、選択肢としては省きます。すると残るのは、自然に治ったか、私が治したか、です が、1ヶ月という短期間に自然に治ったというのは、ないことだとは言えませんが、これまた可能性の低いことです。こうなると、私の施術でガンが治ったと考 えるのが妥当でしょう。 しかし、ガンが治ったこと自体はすばらしいことでも、なぜ治ったかがわからなければ、私としては意味がないのです。治ったか治らないかは、患者本人よりも 私のほうがわかっているものです。

  病院での薬で治っているのに、私の施術のお陰だと言ってくださる方もいますので、患者自身の身体感覚というのは案外当てにならないもので す。もし、治療家の側で、患者のガンが治ったか治ってないかの判断が正確にできないようであれば、自分の施術の理論自体を、自分の都合のいいように結論付 けてしまうこともありえます。これは、真実を求める目を狂わせることにもなる、非常に危険な落とし穴なのです。  

  私一人では、形態異常を矯正したらガンが治ったということの科学的な証明ができませんし、少ない症例ではデータにも客観性がありません。 その後も何人かのガン患者に施術しましたが、末期でも完治した方がいる一方で、進行のスピードに施術が全く追いつかずに、亡くなった方もいます。  一口にガンと言っても、種類も悪性度も全く異なりますし、何よりも個人差が非常に大きいので、ガンの治療は一筋縄ではいかない難しいものだと言えます。 数人治ったからと言って、これで全てのガンが治せるなどという簡単なものではありません。だからこそ、ガンの発生のメカニズムの究明が急務であると言える のです。  


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■Vol.15 「 ガン(8) 」 アルカロイド ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
   もう一度、ガンの発生の仕組みについて考えてみましょう。  遺伝子の転写ミスを免疫が修正できなくなることでガンは発生します。その原因は、発ガン物質であったり、老化現象であったりします。

  ガンの前兆やガンの患者特有の症状である形態異常の特徴として
・感覚神経が痛みを感じにくい。
・特に左側の感覚が鈍くなる。
・特にアルカロイドを摂取した場合、反応の鈍さが健著である。

 などが挙げられますが、これらの特徴をまとめると、神経伝達の異常ということになります。  この特徴から考えると、漢方薬などに含まれるアルカロイドという化学物質と神経伝達の異常とに関連性があることが浮かび上がってくるのです。

  アルカロイドによって神経伝達に異常が出るとするなら、一番に考えられるのは、微小管への影響です。 微小管は、神経細胞に栄養を送る器官であり、細胞分裂の際にも重要な役割を果すと言われています。

  アルカロイドは、この微小管に影響して細胞分裂を阻害するばかりでなく、神経伝達物質であるアセチルコリンの分解まで阻害します。通常、こ のアセチルコリンは筋肉を収縮させる働きをしています。 アルカロイドの影響でアセチルコリンの働きが異常になると、筋肉は収縮したままになり、筋肉がこわばった状態になります。これは形態異常の特徴的な症状で す。

 元々、アセチルコリンの減少は老化現象のひとつです。 年をとると段々神経は鈍くなるものですが、アルカロイドを大量に摂取すると、老年でなくても同じことが起こるようになってしまうのです。  これはアルカロイドが引き起こした擬似老化現象といえます。これらの神経伝達異常が起こると、免疫やホルモン、タンパク合成が異常になり、ガンが発生・ 成長します。

  しかも、微小管にダメージが加わり続けると、RVLMニューロン群(脳の  一部)にも多大な影響を与えます。また、アルカロイドは、脳関を通って中枢神経にもダメージを与えます。それと同時に、自律神経の左右差を決定する遺伝 子に異常を来すように作用すると考えられます。

  これが、結果として、左の起立筋の異常なこわばりなどの様々な形態異常として現れるようになるのです。

  本来、ガンの発症は老化の一種です。老化が不可逆的なものであることを考えれば、老化によるガンは、一旦発症したら消失はしないはずです。それでは、 なぜ、体を直接刺激する体性感覚刺激でガンが治ったのでしょうか。

 末梢神経への刺激をある一定量続けると、中枢神経に伝わった刺激によって  アルカロイドの影響でダメージを受けた脳の一部が回復します。その結果、阻害されていた通常の免疫機能が回復し、ガン細胞が消失に向かうようです。この ように、矯正による体性感覚刺激によって神経伝達異常が改善され、結果としてガンも消失していることからも、老化によるガンとは根本的に発生の仕組みが違 うガンが存在すると考えるのが妥当でしょう。

 また、ガンの発症は老化の一種ですから、若年(老年期以前)のガンの発症は、極めて不自然なことだと言えます。そうなると、この異常を引き起こすなんら かの要因の存在が疑われます。 擬似老化現象である神経伝達異常を引き起こすのが、アルカロイドです。
 
  その点からみても、アルカロイドが若年のガン発症の主要因であると考えられるのです。
   以上のことから、私は、若年のガンはアルカロイド摂取による「薬害」で  あるとの結論に至りました。ですから、現在大量に流通し、摂取されているアルカロイドを含む薬、漢方薬、健康食品の摂取を極力控えていただきたいので す。

    このことを、ここに改めて警告させていただくことで、当コラムの最後の  メッセージとさせていただきます。






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