形態矯正学とは
「形態矯正学」とは、人体の形態(形態的異常)と「形態矯正療法」による体性感覚への刺激に対する反応を比較研究し、疾患と形態的異常との関連性
及
び一般的な法則を導き出すことを目的とする。
そのためには、現代医学における解剖学、発生学に基礎を置き、科学的見地から生体反応の生理学的な検証がなされなければならない。それは、従来の
指圧や整体などのような形而上学的思弁を排し、実証主義に基づくものである。
「形態矯正学」における「形態矯正療法」では、骨や椎間板などのずれ・変位などの物理的原因による疾患に対しては力学的な矯正を施し、形態的異常
を伴う疾患には「体性感覚刺激」を用いる。(ここで言う体性感覚とは、大まかに言って皮膚や粘膜・筋・腱・関節からの感覚を指す)
通常、体性感覚刺激による情報は、求心性神経を通って中枢神経に伝えられ統合され、その結果自律神経系を通って内臓機能を反射性に変化させる。ま
た、自律神経系は内分泌器官や免疫担当器官にも分布しているので、内分泌系・免疫系をねらって体性感覚刺激を施す。
施術は患者に触れた施術者自身の体性感覚をもとにして行い、一切器具は使用しない。施術者の体性感覚は、十分な指先の訓練によってかなり正確な判
断を下せるようになる。施術者に必要とされる体性感覚とは特殊なものではなく、音楽教育によってドレミの音階を正確に聞き分けたり発声できるようになるの
と同様、訓練可能なごく一般的な感覚である。
形態的異常を伴う疾患患者の場合、体性感覚刺激に対する神経反応が鈍くなっており、逆に言えば、鈍いがために疾患が生じると言ってもよい。また、この神
経反応の鈍さは、末梢に行けば逆に過敏な反応を示し、その反応は疾患の症状と符合する。
※特定の漢方薬、健康食品を服用すると、その過敏な部分を消失させることがあり、その結果骨格筋の強張りを増す場合がある。また、これにより疾患
がより
深刻化する可能性もある。
形態矯正療法では、反応の過敏な部分を刺激することによって中枢に刺激を伝播させる。
その結果、神経同士のつながりが活発になり、下図のように反応が変化する。
形態矯正によって、刺激に対する反応が、上図のA>B>Cの状態になると、本来痛い
はずの部分がちゃんと痛く感じられるようになる。
この場合の患者は、全身どこに触れられてもかなりの痛みを感じられるようになるが、
疾患のある部分は抑制反応が残る。
またこの抑制反応の強さは具体的な疾患の重大さとある程度比例するが、形態矯正
学的には強ばりの強弱を疾患の重大さと捉えている。
強ばりを伴う形態的異常は、施術中に反応がみられるようになっても、一瞬で元に
戻ることがあり、施術により一旦正常に戻っても、後日再度異常が出てくることもよ
くある。たとえ具体的な疾患が完治しても、形態異常を完全に抑えきることは難しい。
この場合の完治に要する期間は、形態異常の存在した年数に比例するように思われる。